ご相談内容 : 遺言
私(Aさん)には、妻がおり、子供はいません。妻しかいないので、遺言書は必要ないでしょうか?
回答
お子さんがいない場合、遺言書を作成しておいた方がよいと思います。Aさんの場合、相続人は、①奥様 と ②Aさんの兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっている場合は、その子供)になります。
遺言書がない場合、奥様とAさんの兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっている場合は、その子供)と遺産分割協議を行わなければならず、Aさんに兄弟姉妹が多い場合は、遺産分割協議に時間、手間、費用等がかかり、奥様に大きな負担となります。
令和2年7月10日から、法務省における自筆証書遺言書保管制度が開始され、法務局で自筆証書遺言書を保管してもらえるようになりました。
これまで、自筆証書遺言書は、紛失や改ざんのおそれがあり、家庭裁判所で検認の手続きを受けなければならないといった不便さがありましたが、自筆証書遺言書保管制度を利用することで、遺言書の紛失や改ざんの心配もなく、検認手続きも不要になります。
ただし、法務局では、遺言書の内容に関する相談には応じていただけませんので、遺言書の内容について、不明点等がある場合は、専門家や公証人に相談された方がよいかもしれません。
また、令和2年4月1日以降に発生した相続から、夫婦の一方が亡くなった場合に、残された配偶者の居住権を保護するため、配偶者居住権が新たに認められることになりました。配偶者居住権とは、夫婦の一方が亡くなった場合に、残された配偶者が、亡くなった人が所有していた建物に、亡くなるまで又は一定の期間、無償で居住することができる権利です。配偶者居住権は、成立要件を満たしていれば権利として発生しますが、配偶者居住権を第 三者に対抗するためには、登記が必要ですので、ご注意ください。
ご相談内容 : 終活
「終活」とよく聞くけど、具体的に何をするべきでしょうか?
回答
「終活」はそれぞれの生活の実情に沿って、準備しておいたほうが良いこと・やるべきことが変わります。ご自身の状況を振り返って必要そうなことに取り組みましょう。代表的なものは下記となります。
1、財産の確認 2、生前贈与や売買の検討 3、相続人の確認・遺言書作成の検討 4、事業承継 ※エンディングノートの活用
<1、財産の確認>
ご自身が亡くなった後に、遺された人が「どの財産」が「どこに(誰に)」「いくら」あるのかを確認しましょう。プラスの財産だけでなくマイナスの財産も財産に含まれますので確認しておきましょう。
プラスの財産:現金・預貯金・不動産・自動車・株券等の有価証券・債権(貸金)
マイナスの財産:債務(借金)
<2、生前贈与や売買・処分の検討>
亡くなった後の財産の承継は「相続」となります。相続には相続税という税金がかかってくる場合があります。1で確認した財産額をまとめ、相続財産の総額はいくらになるのかを確認しましょう。もし相続税がかかりそうであれば、いくつかの財産を生前に贈与したり処分することも検討しましょう。
<3、相続人の確認・遺言書作成の検討>
自分が亡くなった場合に財産を相続する人(相続人)が「誰か」というのは法律で決まっています(法定相続人)。そしてその割合も決まっています(法定相続分)。しかし、「特定の誰かに多く残したい」気持ちがある場合や「寄付したい」と思いがある場合、遺言書の作成を検討しましょう。
<4、事業承継>
もし事業者であれば、自分が亡くなった後の事業を引き継いでもらうのかどうするかを検討しましょう。経営状況や社内の後継者の状況を考え、その育成・引継ぎ事項を検討することはもちろん、事業譲渡や合併等も検討しましょう。許認可が必要な事業であれば、事業承継の伴う許認可の承継についても準備する必要があります。
【エンディングノートの活用】
これらのことを1つのノート等にまとめるとご自身の整理にもなりますし、遺された人の手続きの参考にもなります。いわゆる「エンディングノート」を活用しましょう。エンディングノートは販売しているものや無料で配布しているものなどたくさんあります。どのようなものでも構わないので、まとめておくと便利です。
エンディングノートには上記の基本的な事項の他「亡くなった後に連絡してほしい人リスト」や「自分の埋葬方法について」「インターネットサービスなどのアカウント情報」「家族へのメッセージ」などを記載しておくと便利です。
ご相談内容 : 著作権
フリマサイトに出品をしているのですが、自分で撮影してアップロードした商品画像を別の出品者やECサイトで無断使用されてしまいました。これは著作権侵害に当たるのでしょうか?また削除等の要請をすることはできますか?
回答
自身が作成したものと同一の画像が無断転載されている場合、著作権法に基づき、複製権や公衆送信権等の著作権侵害を主張できる可能性があります。
複製権とは
著作物をコピーする権利のことです。
・著作物とは、小説、音楽、絵画、写真、ソフトウェアなど、人の創造的な活動によって生まれたあらゆる作品のことを指します。
・複製とは、コピー、複写、スキャン、録音、録画など、元の作品をそのまま、または少し変えて作り直すことを意味します。
公衆送信権とは
これも著作権の一種で、著作物をインターネットや放送などを通じて、不特定多数の人(公衆)に届ける権利のことです。
対策としてまずは電子商取引サイト(ECサイト)やフリマアプリ等の管理者に対して削除要請等を行うことが考えられます。主要な電子商取引サイト(ECサイト)やフリマアプリは、他会員の画像を無断で使用することを禁止としています。管理者が禁止行為に該当すると合理的な理由に基づき判断した場合は、取引キャンセル・商品削除・利用制限などの対応があり得ます。削除要請窓口が設けられていますので、削除窓口から削除要請等を行うのがよいでしょう。この時、該当の画像や出品ページのURLなどを提示し、無断転載であることを報告しましょう。管理者側が調査を行い、無断転載している出品者に対し、削除や警告などの措置を取ってくれる可能性があります。
また特にECサイトにおいては、当該出品者の住所やメールアドレス、SNSのアカウント等が公開されている場合があります。これを確認し、直接削除要請等をするため、連絡を行うことが考えられます。その場合の方法としては、
・警告書の送付
(無断転載を行っている出品者に直接、警告書を送付することも考えられます。)
・内容証明郵便などで送付することで、法的証拠として残ります。
警告書の内容としては、著作権侵害であること、画像の削除を求めることなどを明確に記載します。